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【前編】「宇宙飛行士 若田光一 × 宇宙兄弟技術監修 内山崇 45巻発売記念 特別対談!

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最新45巻の発売とともに、次巻完結の報も送られた『宇宙兄弟』。

 

これを記念して、宇宙のスペシャリストで『宇宙兄弟』技術監修もお願いしている内山崇さんと、ご存じ宇宙飛行士の若田光一さん、おふたりの対談が実現!
『宇宙兄弟』最新45巻の内容から宇宙開発の内実まで、多方面にわたり語っていただきました。

 

ここから先は45巻のネタバレを含みます。

 

マンガのリアリティを支える、専門家たちの本気の救出プラン

 

–––––本日はよろしくお願いします。最新45巻ではムッタが6時間も孤独に宇宙を漂流し、地上の管制チームとヒビトが連携して救出するという、手に汗握る展開が描かれました。
この一連の流れについて、小山さんと担当編集から、内山さんにかなり無茶振りをしてしまったと伺っているのですが、実際はどのような形だったのでしょうか?

 

 

内山崇(以下、内山) 私の立場は「技術監修」なので、宇宙開発についてのファクトチェックくらいをイメージされると思いますが、どちらかというと「ムッタがこうして放り出されるんだけど、救出プランを考えてもらえませんか?」という依頼でした(笑)

 

 

–––––プランニングからですか!

 

 

内山 そうですね。実際にこういうことが起きたらどうするか、どういう対策がとれるか、軌道計画のスペシャリストにも協力をあおぎ、ほとんど仕事のように、かなりまじめに考え抜きました。面白かったのですが、これは想像していた監修の領域を超えているなと思いながらやっていました。

 


「各国共同でまとめた」救出プランは、内山さんと
軌道計画のスペシャリストの方が...!

 

 

内山 現場のリアルをお伝えしつつも、最後はマンガ的な面白さを優先しないといけないので、「実際は無茶だけど、これはできることにしましょう」といったバランス調整は編集の方を通じて、小山さんと相談しながら進めました。あとから聞いた話ですが、医学監修のお医者さんなど、各分野の専門家が同じような「無茶振り」を受けているそうです。

 

といっても、そのことはすごくポジティブに捉えています。小山宙哉さんのクリエイティビティを大事に守りながら、専門家にしっかりヒアリングをしていることで、リアルな現場の様子も読者の方々に届けられているということなので。それに少しでも貢献できたのであれば非常に嬉しいなと思っているところです。

 

 

若田光一 (以下、若田) 内山さんのような宇宙システムの開発、運用の隅から隅までを知り尽くした方が、『宇宙兄弟』のストーリーづくりに深く関わってもらえるのは、宇宙開発の現状を伝えるうえで大切ですね。

 

 

––––若田さんは、宇宙飛行士の立場からこの「遭難/救出シナリオ」をどうご覧になりましたか?

 

 

若田 十分ありえるシナリオだと思います。もちろん、こうした事態が起きないように、システム開発や運用手順など、何重にも安全策を考えて準備はしています。

 

しかし、有人宇宙活動の歴史を見ても、想定外のことは大小さまざまに発生しています。

 

地上管制チームや飛行士といった「生身の人間」が想定外にどう対応していくかというのは永遠の課題だと思いますし、これは宇宙開発に限らず、人類が生きていく上で常に直面するものだとも思います。

 

まさに、内山さんのような運用のプロが考え抜いたプランでムッタが救出されていくストーリーは、有人宇宙活動が人類の危機管理にどう貢献できるかを示す、良い題材だったのではないでしょうか 。

 

 

マンガを超える「想定外」が起きる現実の宇宙開発

 

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