第16回【アシスタントブログ】44巻単行本修正(後編)
こんにちは!
宇宙兄弟アシスタントのカンです🥫
44単行本修正の続きを語ります!
単行本修正の段階3
最後の追加修正の主な内容は以下通りです。
①ソユーズ
ソユーズ表面の布の質感を出しつつ、
ベタ(真っ黒)のところから、光に当たって白くなるところまで、
しっかりとペンのタッチでグラデーションを作ります。
以前は
ソユーズやオーラン宇宙服など色がついてあるものに対して、
色のトーンの上にもう一枚影用のトーンを重ね貼りしてグラデーションを作っていました。
トーンにはドットとドットの間に隙間があるので、
その隙間にもう一枚のトーンのドットを入れることで色を濃くして
陰影を作るという仕組みです。
↑トーンの重ね貼りがわかりやすい一枚。
右側の色が濃くなっているのはトーンを重ねたからです。
しかし、
先生はトーンの重ね貼りの感覚があまり好きではありません。
先生によると、
「漫画はやはりペンで描くもので、
トーンはあくまでも補助として使うもの」とのことです。
そこで「基本的にはペンで表現し、トーンは一枚だけにする」という鉄の掟が生まれました!
この修正はなかなか大変でした……💦
ソユーズの修正前後はこんな感じです↓↓
Before
After
トーンは一枚しか使っていませんが、
修正前と比べるとだいぶ濃淡が際立って、立体感もアップしています!
しかし、この方法だと、
特に布を描くのが難しいのです。
ソユーズの形の丸みに合わせて、色の緩急をつけることが求められます。
布のタッチに注目して
修正前後を見てみましょう!
Before
After
トーンの重ね貼りをやめて、ペンタッチでグラデーションを作りました。
このコマについては、
ヒビトのオーラン宇宙服の質感にもお話したいことがあります笑
ヒビトの左腕に注目してください🙌
影と光の境目にちょっと調子線(陰影や質感、立体感を表現するための線)を足すことで、
コントラストが強まり、光の強さが伝わるようになっています!
②ヒビトがいるソユーズ船内の仕上げ
船内はやや暗いので、
以前はグラデーショントーンを一枚貼って済ませていましたが、
今回は光の表現をはっきりさせたい、ということで
光源、光、そして光に当たったことによってできた影を全て絵にしていくことになりました。
背景だけではなく、そこにいるヒビトにも影とトーンを追加します。
Before
After
③船外でのムッタとヒビト二人の影のコントラスト
立体感を出すために、宇宙服の影をしっかり作ることが求められます。
トーンと影の境目にさらにペンを入れて、コントラストを強めます。
注目ポイント👀
影だけではなく光の表現も大事なので、
ムッタのヘルメットや肩の黒いところにも「白いトーン」を貼って、
削りで光を表現します!
Before
After
・
・
・
・
・
段階3の修正が終わると同時に、
アシスタントの皆は燃え尽きました(笑)
大変な作業もありますが、修正の有無で絵のかっこよさもだいぶ変わりますね。
私は、漫画家ならこれほどの修正は普通だと思っていましたが、
他の漫画家のもとで働いたことのある先輩によると、
小山先生のようにほぼ全話分全ページ描き直す漫画家は滅多にいないそうです。
単行本修正の裏話を読んで、
44巻を読む際にもっと楽しんでいただけたらと思います!
それでは、またね〜!^^